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外国人の労務管理

外国人の労務管理

外国人が日本で就労する場合、委任・請負契約など特別なケースをのぞいて、日本人と同じく労働者に該当し、労働関係法令が適用されます。

また、外国人という理由のみで、日本人と差別的な待遇をすることは絶対に許されません。

以下、外国人雇用について特に注意すべき点を列挙していきます。

(1)ハローワーク(公共職業安定所)への届出義務

雇用保険加入の外国人労働者

雇用保険の手続きのときに届出に届けなければならない。

雇用時は翌月10日まで、退職時は10日以内

雇用保険加入者でない外国人労働者

雇用時、退社時とも翌月末まで

(2)住居地への届出義務

平成24年7月9日から導入される在留カードの交付により、外国人は住居地を定めてから14日以内に、住居地を市区町村に届けることになります。

受入れ企業としては、その外国人労働者が届出をしたことを確認しなければなりません。

(3)雇用期間

  • 日本人労働者に比べて外国人労働者の場合、入管法上の在留期間や1つの会社での長期勤務の意思が希薄であるという理由から、雇用期間を限定した契約社員が多いようです。
  • 平成24年7月9日から、就労資格の代表である「人文知識・国際業務」「技術」などの在留期間が最長5年となります。他方、労働基準法において、期間の定めのある契約(有期労働契約)は1回につき原則3年であり、期間満了をもって契約は終了します。もっとも契約更新は問題ありません。
  • これまでに外国人労働者の雇用の経験やノウハウが十分にない企業様は、取敢えず短期(1〜3カ月)の嘱託契約で採用し、外国人本人の能力や適応性をみることがよいのではないでしょうか?その後、1年ごとの有期労働契約を締結し、幹部候補などのステップアップの際に3〜5年に切り替えていく方法が相互に好ましいと思われます。
  • 2か月前からの在留期間の更新や、在留資格が変更になった場合の許可申請など、外国人労働者が行わなければならない様々な入管法に従った手続きを、日本企業は把握・管理しなければなりません。

(4)労働契約書・就業規則

  • 外国人の入国審査は、労働契約書がなければパスしませんし、10人以上の労働者を使用する事業所は就業規則を労働基準監督署に届出る義務もあります。しかし、日本人使用者も労働者の多くは契約書には無頓着で、お互いに人的な信頼関係を基礎に運営されているのが実情ではないでしょうか?
  • 他方、一般的に外国人は日本人よりも契約書を重視します。受入れ企業としては、日本人の常識は外国人にとっては非常識であることを肝に銘じなければなりません。誤解を恐れずに例えると、契約外であれば、外国人にとって、始業開始前の朝礼やサービス残業、忙しい同僚の手助けをしないことは当然であり、日本人が輪を乱すと憤慨する理由も気持ちも理解できません。外国人を雇用するには、受入れ企業がこのことを理解しなければなりません。
  • 逆に外国人に対しては、日本の習慣を理解してもらわなければ、日本人労働者とトラブルが生じることになります。
  • そこで、労働関係法令を遵守しつつ、日本の習慣に対応することを盛込んだ契約書を策定しておくことが重要となります。来日当初、外国人が日本語を理解できないことも想定されますので、少なくとも英語版は準備してそれ以外の言語は必要に応じて翻訳文を添付するなどの配慮は必要ですが、あくまで契約書は、日本語と日本国の法令にて解釈されることを明記しておくべきです。

(5)賃金

  • 外国人労働者にも、当然に最低賃金法が適用されます。外国人労働者の賃金を決める教科書は存在せず、その外国人を配置しようとする職務に従事している日本人労働者の賃金が一応の目安として、その外国人の能力、学歴、職歴などを加味して決定するしかありません。つまり、日本人労働者の場合と同じです。
  • ただし、外国人労働者は、残業代など事細かに申し立ててくると覚悟しておいてください。契約重視に関連しますが、多くの外国人は、自己の主張をすることは当然と考えています。
  • 日本と外国では、賃金の算定期間や方法、支払回数、賞与や退職金などが大きく異なります。賃金は最も重要な契約の要素ですから、十分に説明し承諾を得ておくことが不可欠です。
  • 問題になるのは、賃金からの天引きです。特に発展途上国からの労働者は、健康で保険はいらないから、その分を現金で渡してほしいなどの要求をしてくることも多々あります。
  • 保険と税金は別記しますが、税金の源泉徴収や保険料の控除は、外国人も日本で就労する以上、支払義務があることを必ず説明しておいてください。これは強行規定ですので、異なる定めをした契約は無効となります。
  • 社宅や寮の賃貸料金、昼食代や労働組合費なども日本の習慣に従ってもらわなければなりません。これらは、賃金控除に関する労使協定書(会社代表者と労働者の過半数の代表者が署名したもの)をコピーして、その外国人に従う旨をサインしてもらっておきます。
  • このことも納得しない外国人労働者は、たとえ大変高い能力があったとしても、日本人労働者或いは居住地域住民とトラブルを起こすリスクが高いと思いますので、雇用しない方が賢明でしょう。

(6)休暇

その外国人の文化によって休暇の習慣も様々ですが、同じ職場の日本人労働者との兼ね合いもあり、受入れ企業にとっては悩ましい問題です。ケースバイケースですが、日本の習慣と外国人の習慣を率直に話し合い、後々のトラブルを未然に防ぐために明文化しておくことが肝要です。

  1. 欧米人は残業や休日労働を嫌いますが、数週間から1カ月におよぶ長期休暇を取ることが一般的です。
  2. 中国人にとって、長期に渡る旧正月休暇は企業規模や役職に関係なく天下御免です。旧正月は太陰暦のため年によって日程が2週間ほど前後しますし、日本の年末年始休暇から1カ月後に再度休暇を取るという厄介な休暇です。
  3. イスラム教徒の毎日5回のお祈りの時間や、断食月(ラマダン)の対応などにも配慮しなければなりません。

(7)食事

誰しも職場に多少の不満があっても、自分の好物を腹一杯食べれば元気が出ますが、逆に食事が合わないと体調を崩したりホームシックになってしまうことは、古今東西同じです。都心部のオフィス街のように外食が中心となる場合はともかく、社内食堂や寄宿舎で食事をとる機会が多い外国人労働者には特に配慮が必要です。

  1. イスラム教徒は豚肉を食べることはアラーの神により禁じられていますが、豚肉の加工品であるハムやソーセージも禁じられています。また、豚肉を調理した包丁やまな板で調理された料理や豚肉と一緒のお皿に盛りつけられた料理にも一切手をつけません。
  2. ヒンズー教徒は牛肉を食べませんし、ヒンズー教徒の多いインド人には菜食主義者がたくさんいます。
  3. 解決策の妙案はなかなか見つかりませんが、包丁やまな板、鍋、お皿などを別にして、自炊できる環境を整えることも一案であると思います。
  4. 参考までに、中国人は加熱したあたたかい食事を取ります。中国人には「おにぎり」の食文化はありません。

(8)ケガや災害の防止

言葉の問題から業務上の意思疎通が十分に行われにくい問題が考えられます。

外国人労働者が理解できる言語で書類を作成して教育することは大切ですが、特に作業現場においては、マンガ、イラストなどによる視覚で認識できる工夫が不可欠です。

また、スタートやストップ、その他の作業内容を身振り手振りの合図を取り決めておくことも重要です。

現場指揮官などがホイッスルにより集合や緊急信号を送ることも検討されてはいかがですか。

(9)はっきりと「No」と言う

最後ですが、一般に日本人は協調性を重視するあまり、相手方の依頼などを拒絶する場合「考えさせて欲しい」とか「行けたら行く」とあいまいな表現を用います。

外国人にとれば、拒絶されていないのですから、承諾の可能性が残っていると判断し、後々話がこじれる結果となります。

拒絶したい場合は、はっきりと「No」と言い、その理由を説明することが大変重要です。

逆に「Yes」は承諾ですから、相槌のつもりで軽々しく「Yes」と言うと大事に至ることもありますので、ご注意ください。

また、交渉時に「I am sorry.」というのも禁句です。

日本人は謙虚を美徳とし、何事においてもまずは「すいません」と言いますので、英語でもつい「I am sorry.」と言ってしまいます。

しかし「I am sorry.」は自分の非や過失を認めたことになることを肝に銘じてください。